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文/土屋 健
とても珍しい化石
「クマムシ」は学術的には「緩歩動物」と呼ばれ、現生種だけでも1000種以上が報告されているグループです。いずれの種も全身がずんぐりむっくりしていて、4対の肢があります。大きさは、大きくても1mmには届きません。
クマムシは、とても“タフな生物”として知られています。「乾眠」と呼ばれる仮死状態をとることで、宇宙空間でも生きることができるのです。極寒環境にも超高温の環境にも、真空でも、乾眠状態になることで、生き続けることができます。
タフなクマムシですが、進化については謎に包まれています。現生種の遺伝子を分析した研究では、祖先は古生代カンブリア紀よりも前(約5億3900万年前よりも前)に登場していたことが示唆されていますが、実際にそうした古い化石が発見されているわけではありません。なにしろ全身が軟らかいために化石に残りにくく、からだが小さいために発見しにくいのです。
これまでに知られている標本の中で、クマムシの進化を紐解くための手がかりになりそうな化石はわずか2個体しかありませんでした。
このたび、そんなクマムシの進化に関する新たな手がかりが報告されました。
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