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文/斉藤勝司
海中を漂う幼生の観察は難しい
ウミウシの仲間は、成体になると海底を這って生活するようになりますが、卵から孵って間もない幼生は海中を漂いながら植物プランクトンを食べて成長します。その後、海底で暮らすようになり、姿形を変えながら成長するものの、幼生のうちは浮遊生活である上、体が非常に小さいため、卵から成体に至る過程を詳しく調べることは決して簡単なことではありません。
こうした観察の難しさに加えて、ウミウシの研究者が少ないことも災いして、これまでウミウシの研究は進んでいませんでした。そこで筑波大学の研究グループは、日本では本州、四国、九州の磯で見られるアオウミウシを用いて、卵から成体にまで育てる飼育方法の確立に挑みました(写真1) 。
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