『子供の科学』創刊100周年メッセージ★大場裕一さん「親子3代『子供の科学』のファン」

1924(大正13)年の創刊から100年間、科学への好奇心あふれる子供たちを応援し続けてきた雑誌『子供の科学』。誌面に載っている最先端の科学の話や、驚きの実験、おもしろい仕掛けの工作などにワクワクして育った読者から、ノーベル賞受賞者をはじめとした大発見をする研究者、画期的な発明をする開発者たちが生まれました。 そんな『子供の科学』を読んで育った読者からメッセージをいただいています。

大場裕一(おおば・ゆういち)。1970年生まれ。中部大学応用生物学部教授。専門は、発光生物学。著書に『世界の発光生物―分類・生態・発光メカニズム』(名古屋大学出版会)、『光る生き物の科学―発光生物学への招待』(日本評論社)など。

──『子供の科学』はいつごろ読まれていましたか? また、出会いの経緯を教えてください。

 小学生から中学生のころ、ときどき親に買ってもらって読んでいました。私は昆虫が大好きだったので、昆虫の記事があるときにはよく買ってもらっていました。また、父が天文ファンなので、天文の記事があるときにも父は買ってきていたように思います。父は、私に天文学者になって欲しかったのかもしれませんね。

──『子供の科学』のどんな特集に興味があったか、思い出に残っている記事などがあれば教えてください。

 昆虫などの生き物が好きだったので、世界の変わった生物の紹介や、生物学上の新知見の解説などに興味津々でした。私には少し難しい内容もあったけれど、その難しさがかえって科学の世界の奥深さを知る初めての機会になったような気がします。

──子供時代に育んだ科学への興味は現在のお仕事や活動、考え方等につながっていますか? どんなつながりや影響があるか教えてください。

 私は子どものころから興味の中心は生物だったけれど、『子供の科学』のページをめくれば、物理や化学や工学や宇宙論など、いろいろな楽しい記事が自然と目に飛び込んできます。そうするうちに、私は、他の人よりも広い視野で考えることができる科学者になれたように思います。

──『子供の科学』100周年に寄せてコメントをお願いします。

 100周年、おめでとうございます。親子3代『子供の科学』のファンです。今年90歳の父は、10歳くらいのころよく読んでいて、それで天文学が大好きになったそうです。父はそれから地質学の教授になりましたが、今も熱烈な天文ファンです。

 私は小学生のころ、その父によく『子供の科学』を買ってもらいました。父は天文特集のときには必ず買ってくれていたようですが、私の興味は生物に向かいました。『子供の科学』で解説を書いている専門家に憧れて、ああいう人になりたいなぁと夢見ていましたが、現在、発光する生物の専門家になって、何度か解説を書く機会に恵まれていることは幸せです。

大場先生にご協力いただいた『子供の科学』2008年7月号の特集は、「発光生物は謎だらけ‼」。

 そして今は、私の息子が『子供の科学』を読んでいます。生物の特集があるときに私は買ってあげていますが、息子の興味は数学に向かっているようです。親子3代、興味の方向はばらばらですが、こうして科学への関心と情熱を3代にわたって後押ししてくれている『子供の科学』をこれからも応援したいと思います。

──今の『子供の科学』の読者たちにメッセージをお願いします。

 インターネットで検索すれば何でも情報が手に入る時代です。しかし、インターネットでは、自分が興味を持っていることの知識しか目に入ってきません。しかも、きちんと確認されていない間違った知識がインターネット上にはあふれています。さらに、自分の年齢の知識に合わない情報は、かえってそれに対する興味を失わせる原因になることもあります。インターネットは、使い方によっては素晴らしいものです。しかし、そういうインターネット時代だからこそ、年齢に合った正確な科学の知識を幅広く得ることのできる『子供の科学』のような雑誌が大事なんだと思います。

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