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文/保谷彰彦
ゾウのゴロゴロ音のヒミツ
ゾウの鳴き声というと、「パオーン」という大音量のトランペットのような音を想像する人も多いと思います。しかし実際には、ゾウの鳴き声のほとんどは「ゴロゴロ」という深く響くような低周波の音で、喉から出るうなり声のようなものです。その「ゴロゴロ」音の一部はヒトには低すぎて聞き取れません。こうした低周波の鳴き声は、個体ごとに違いがあることなどから、ゾウ同士のコミュニケーションに役立っていると考えられてきました。
このほど、コロラド州立大学(アメリカ)などの研究グループは、アフリカゾウの低周波の鳴き声には、相手を特定する「名前」のような要素が含まれていることを発見しました。さらに録音された鳴き声を再生すると、ゾウは他のゾウに向けられた呼びかけに比べて、自分に向けられた呼びかけの方が、より素早く音源のスピーカーに近づき、より大きな声で反応することが観察されました。その違いは明らかで、ゾウは自分宛ての呼びかけに対して、平均すると128秒早く音源に近づき、87秒早く発声し、2.3倍多く発声したのです。これらの結果は、ゾウが自分宛ての呼びかけを個別に認識していることを示しています。
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