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文/土屋 健
火山灰の中に残っていた!
三葉虫類といえば、古生代(約5億3900万年前〜約2億5200万年前)の海で栄えた節足動物のグループです。その種数は1万種を超えるとされています。これほどまでの多くの種の化石がみつかっている理由は、殻がとても硬いからです。炭酸カルシウムという、二枚貝類(味噌汁でお馴染みのアサリやシジミの仲間)の殻と同じ成分でできていました。この殻が化石としてよく残るのです。
……逆にいえば、殻以外の部分が化石として残った例はほとんどありません。例えば、あしや内臓などはやわらかい組織でできており、化石としてはなかなか残りません。ただし、「まったく残らない」のではなく、特殊な条件のもとで化石化した個体の中には、こうしたやわらかい組織でできた構造が残されているものもあります。今日の私たちが三葉虫類の復元画であしや触角を見ることができる理由は、こうした「特殊な条件のもとで化石化した個体」の分析をもとに再現されているからです。
このたび、ポアイティエ大学(フランス)のアブデルラザク・エル・アルバーニ博士たちが報告した三葉虫類の化石は、モロッコに分布する、古生代カンブリア紀のある時期(約5億1400万年前〜約5億900万年前のどこか)につくられた火山灰の地層の中から発見されました。アルバーニ博士たちの分析によると、その化石には、やわらかい組織が残っていたようです。
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