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文/保谷彰彦
現生のバオバブは8種
バオバブの木は、印象的な樹形をしていて、根のような枝ぶりから「逆さまの木」と呼ばれます。数千年に及ぶ長い寿命から「生命の木」ともいわれます。
バオバブは古くから、人々の注目を集めてきました。最古の記録は、紀元前2,300年頃の古代エジプトにまで遡るとされます。樹形が面白いというだけでなく、葉や果実、種子が食用にされるなど人々の生活に深く関わり、さらに数え切れないほどの芸術作品にインスピレーションを与えつづけ、文化とも結びついています。また、その花には、コウモリやキツネザルなどが集まることもあり、生物学者も魅了されてきました。
現生のバオバブ属の植物は、形の特徴にもとづいて8種に分類されています。そのうち1種はアフリカ全土に広く分布し、1種はオーストラリア北西部に生育し、他の6種はマダガスカルの固有種です。しかし、化石の証拠がないため、バオバブの起源については古くから議論が続いてきました。
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