1924(大正13)年の創刊から100年間、科学への好奇心あふれる子供たちを応援し続けてきた雑誌『子供の科学』。誌面に載っている最先端の科学の話や、驚きの実験、おもしろい仕掛けの工作などにワクワクして育った読者から、ノーベル賞受賞者をはじめとした大発見をする研究者、画期的な発明をする開発者たちが生まれました。 そんな『子供の科学』を読んで育った読者からメッセージをいただいています。
──『子供の科学』を読み始めたきっかけは?
昭和30年代前半、私が小学5年生のころから中学生まで読んでいました。本屋で見つけて、おもしろそうな工作が載っていたので、母親に頼んで買ってもらったのがきっかけです。母親が珍しく、何もいわずにすぐ買ってくれたのを覚えています(漫画雑誌を買うときは、いろいろ条件をつけられていました)。
──思い出に残っている記事を教えてください
工作が大好きで、特にゲルマニウムラジオ、真空管並三ラジオ、一石トランジスターラジオなどをよくつくりました。子供のころは主に工作記事ばかり読んでいました。
本当によい(おもしろい)雑誌だと思ったのは、実は大学卒業後です。久しぶりに捨てずに置いてあった古い雑誌を見たら、いろいろな科学についての説明記事がきちんとわかりやすく書かれているのに改めて感心しました。
この雑誌が100年間も継続されてきたことに驚きを感じています。近年、日本の技術力が低下しているとよくいわれていますが、『子供の科学』のような雑誌が継続して出版されていれば、まだ期待してよいと感じます。
──子供時代に読んだ『子供の科学』のどんなところが仕事に役立っていますか?
小学校高学年からラジオ少年で、真空管のST管、GT管、MT管を使って遊んでいたのですが、トランジスターの出現はすごくインパクトがありました。中学生のとき、『子供の科学』の記事でトランジスターラジオをつくったのですが、トランジスターの原理が難しかったせいか、高校生のときはラジオへの興味が薄れてしまいました。でも物理や化学がおもしろくなってきて、大学の理学部で学び、東京芝浦電気(現・東芝)に就職してからは材料分野ばかり好んで担当して研究しました。『子供の科学』で小中学生のときにものづくりなど科学をおもしろいと思う体験ができていたことが、大人になってから活きていると思います。
──今の読者にメッセージをお願いします
『子供の科学』の読者のみなさんは、科学的なことをおもしろいと思うことができる人だと思います。
科学をおもしろいと思えるのは、能力(才能)の1つです。ぜひ、おもしろいと思える能力を継続してください。そうすれば、(ある程度の勉強も必要ですが)将来大人になってからの仕事もきっとおもしろくなりますよ。
(撮影/青栁敏史)
石崎さんの東芝での研究にもつながる東芝未来科学館10周年×子供の科学100周年記念企画展「あかりヒストリア」にも注目! 2024年3月23日(土)から6月22日(土)まで開催しています。
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