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文/保谷彰彦
傷口から病原体が感染すると、昆虫や小動物だけでなく大型動物でも死に至ることがあります。傷口では体を覆う殻や表皮が損傷しているため、病原体が侵入しやすくなるのです。また集団で生活する昆虫や動物の場合、仲間にも感染が広がる危険性も高くなります。
サハラ砂漠以南のアフリカ大陸に生息するマタベレアリは巣を作り集団で生活しています。主な餌はシロアリですが、それらを襲うときに、よく負傷します。その傷は大きなダメージを与えることがあり、たとえば、シロアリを襲ったアリの約22%が、1本または2本の脚を失っています。
負傷したアリは、仲間によって巣へと運ばれます。そして、仲間のアリたちが、負傷アリの傷口を舐めたり手入れしたりして治療することがわかっています。しかし、治療のメカニズムは未解明でした。
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