【コカトピ!】ティラノサウルスの新種を発表!

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文/土屋 健

「ティラノサウルス」という名前

 

「ティラノサウルス」といえば、誰もが知る大型の肉食恐竜でしょう。白亜紀末期の北アメリカ大陸西部に君臨し、その全長は13mに達しました。「13m」という大きさは、肉食恐竜としては「最大」ではありませんが、「最大級」です。

 ティラノサウルスは、正式には「Tyrannosaurus rex」と種名を書きます。これをカタカナ読みすることで、日本語では「ティラノサウルス・レックス」と書くことが一般的です。この種名のうち、「Tyrannosaurus」の部分を「属名」、「rex」の部分を種小名といいます。

 属名と種小名は、日本における姓と名の関係によく似ています。例えば、田中太郎さんと田中次郎さんという兄弟がいたとき、太郎さんと次郎さんは別人ですが、でも、同じ田中家の兄弟として、姿はよく似ています。同じように、同じ属であっても、複数の種小名がある場合があります。現生の動物でいえば、「パンセラ(Panthera)」という属の動物がいます。この属には、「レオ(leo)」「オンカ(onca)」「タイガリス(tigaris)」などの種小名をもつ種がいます。それぞれ、「ライオン」「ジャガー」「トラ」のことです。ライオンとジャガーとトラは別の種ですが、パンセラの仲間として近縁で、姿も似ています。

 さて、ティラノサウルスです。これまでこの属名をもつ種は「レックス」だけでした。実は、2022年に「レックス以外にも2種がいるぞ」という論文が発表されていました。知られているティラノサウルスの化石を再分析したら、“少し細い種”と“少しがっしりした種”がいるというのです。

 しかし、その論文発表から数ヶ月後に、「異なる種というよりは、レックスという種の中の個体差とみなすべき」という反対論文が発表されました。そのため、これまでは「ティラノサウルス属には1種(レックス)しかいない」との見方が依然として主流でした。

新たな種は「ムクラエエンシス」

 このたび、ニューメキシコ自然史科学博物館(アメリカ)のセバスチャン・G・ダルマン博士たちは、これまでレックスとされていた部分化石を詳しく調べ、レックスとは異なる特徴を見いだしました。そして、ティラノサウルス属の新種として、「ティラノサウルス・ムクラエエンシス(Tyrannosaurus mcraeensis)」という名前を与えました。「mcraeensis」は、その化石が産出した「ムクラエ(McRae)層群」という地層にちなんでいます。

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