市民科学の歩みを振り返る企画展「信州天文文化100年」(長野県、4/2(日)まで)

専門家ではない市民が協力して科学的な活動を行うことを「市民科学」や「シチズンサイエンス」という。近年、その重要性はますます高まっているよ。今回紹介する展示は、長野県で100年にわたって活動を続けている「諏訪天文同好会」に注目したもの。同好会の発足当時のメンバーはみんなと同じ、小・中学生。ここでは、展示内容をチラッと紹介するよ★

 長野県は、いくつもの天文研究施設やプラネタリウム、公開天文台がある「宇宙県」。例えば、1974年にできた木曽観測所(東京大学大学院理学系研究科附属天文学教育研究センター)、1984年にできたJAXAの臼田宇宙空間観測所、1982年にできた野辺山宇宙電波観測所(国立天文台)など、天文ファンならずとも名前を知っているような有名な施設も多い。

臼田宇宙空間観測所・美笹深宇宙探査用地上局にそびえる54mアンテナ。(画像提供/大西浩次氏)

 長野市立博物館で開催中の企画展「信州天文文化100年」は、そんな長野県で100年以上活動を続けてきた「諏訪天文同好会」に注目。その活動を通して、これからの市民科学のあり方を考えていく展示になっているよ。

諏訪天文同好会発起人写真。(茅野市八ヶ岳総合博物館蔵)

 1922年に発足した諏訪天文同好会の当時のメンバーは、主に小・中学生。星座観察や変光星観測の指導を受け、観測結果を天文月報へ報告するなど天文学の研究に貢献した。東京天文台の神田茂、京都大学の山本一清という当時活躍していたふたりの天文学者から直接教えを受ける機会があったことも、観測を続ける大きな原動力になっていたそうだよ。

カルバー望遠鏡(長野市立博物館蔵)。京都大学の天文学者・山本一清の協力によって松代に設置されたもの。

諏訪天文同好会の創設メンバーのひとり、五味一明の変光星観測野帳(茅野市八ヶ岳総合博物館蔵)。

 諏訪天文同好会の志は地元でずっと大事に引き継がれ、2019年には長野県天文文化研究会が発足。県内のアマチュア天文家の観測データの保存やアーカイブ化なども行われている。

 会場には望遠鏡やさまざまな観測図など、ほかにも貴重な資料がたくさん展示されているから、ぜひ足を運んでみよう( 土曜日に限り、小・中学生は入場無料だよ)。

 また、この展示の図録は「市民科学」プロジェクトのホームページ(https://shiminkagaku-pj.org/exhibition/exhibition-134/)で誰でも見ることができるから(ダウンロードも可!)、現地にはなかなか行けないという人はそちらに目を通してみてね。

イベント名企画展「信州天文文化100年」
会期2月4日(土)~4月2日(日)
会場長野市立博物館
住所長野県長野市小島田町1414(川中島古戦場史跡公園)
開館時間9時~16時30分 (入場は16時まで)
休館日2/6(月)、13(月)、20(月)、24(金)、27(月)、3/6(月)、13(月)、20(月)、22(水)、27(月)
観覧料小中学生/100円(土曜日は子どもウェルカムデーにつき無料)、高校生/150円、一般/300円
問い合わせ026-284-9011
公式サイトhttps://www.city.nagano.nagano.jp/museum/
備考2023年8月中旬~下旬に長野県伊那文化会館に巡回予定

 

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