《偉人
さん、いらっしゃ~い‼》へようこそ。毎回、すてきな偉人さんをゲストに楽しいトークをお届
けします。日本で最初に白熱電球
をつくり、電気を使ったさまざまな事業
をおこして「日本の電気の父」と呼
ばれた藤岡市助
博士
。国中に電気の明かりを届
けようと奮闘
した博士の胸熱
ストーリーだ!
藤岡市助博士、いらっしゃ~い‼
─小さい頃
はどんな子供でしたか?
私の父は岩国藩
の下級藩士
で、8歳
から藩校
「養老館
」で学びました。学問が好きで、夜も仲間と集まって勉学にはげみましたが、家に電灯などありません。そもそも日本には、まだ電気というものがなかったのです。
―えっ! じゃあ、電気の勉強はどこでしたんですか?
18歳で上京して、工部省
工学寮
の電信科
に入学。当時、電気工学は世界でも最先端
の学問でありました。明治維新
で新しい世の中になり、西洋の進んだ技術
を身につけようと必死
に勉強して、ついにアーク灯の点灯に成功
。アーク灯は放電を利用した電灯で、まばゆい光を放って皆をアッと驚
かせました。これが、わが国で最初の電気の明かりであります。
―それで、次に白熱電球をつくろうと思ったのはどうして⁇
白熱電球をつくったのは、ある人物との出会いがきっかけです。明治
17年、私はアメリカで開かれた万国電気博覧会
へ招
かれ、発明王エジソンの研究所を訪
れました。そこでミスタ・エジソンは発明品の白熱電球や電話機
を見せながら、こうアドバイスされたのです。「まずは自分の国で電気製品
をつくりなさい。国の技術を向上させないと、事業
の発展
はありません」。
―エジソン、めっちゃカッコ良い!
私は大いに発奮
して、この手で白熱電球をつくろうと決意したのであります。白熱電球はアーク灯より安全で、安く大量につくることができます。そこで私はミスタ・エジソンに手紙を書いて、ぜひ白熱電球を送ってほしいと頼
みました。すると翌年
、36個
の電球が届いたのです。それを手本に、手探りでものづくりをするのは困難
でしたが、5年かけて国産
の白熱電球が完成
。2本のフィラメントで明るさが切り替
わるのは日本オリジナルです。
―すごーい!まさに「日本のエジソン」ですね!
しかし、つくって終
わりではいけません。電球を製品化して国中に電気の明かりを届けるために、次は発電所をつくろう。そしてつくった電気で、今の新幹線
のような高速
電気
鉄道
を走らせようと考えたのであります!
―ワオ! その情熱
はどこからわいてくるんですか?
私は、生涯を日本の電気事業のために捧
げると決めていました。電気技術こそ国の礎
だと信じておったのです。電気を使ったいろいろな発明で、人々の暮
らしを便利で豊かなものにしたい……それが私の夢
でした。みなさんも世の中の役に立つことを考えて、夢に向かってチャレンジしてください。
もっと知りたい! 偉人さんエピソードクイズ
最後は、もっと知りたい「偉人さんエピソードクイズ」のコーナー。何問正解
できるかな? 挑戦
してみよう。
Q1
市助が子供のころから得意
だったものは?
a ピアノ
b 野球
c 英語
Q2
市助と親交
のあった日本の発明家は?
a 豊田佐吉
b 2代目田中久重
c 平賀源内
Q3
電球の他に開発
を手がけたものは?
a 電気洗濯機
b 電動式
エレベーター
c 電気自動車
クイズの答え合わせはこの下をチェック
↓↓↓↓↓↓↓↓
Q1 c 英語
市助は15歳で岩国英国語学所
に入学。イギリス人の先生から英語や算数、地理など、イギリスの中学校と同じ教科を習った。もちろん授業は全部英語で、2年後には先生の代わりに授業をするほど優秀
だったそうだよ。他にも絵と習字が得意で、好きな言葉は「至善
(この上もないよいこと)」。
Q2 a 2代目田中久重
発明家の「からくり儀右衛門
」こと田中久重の後を継
いだ2代目田中久重は、市助が工部大学校を卒業
した頃、アーク灯を実用化したいと相談しにやって来た。その熱心
な様子
に、二人は意気投合
したそうだよ。のちに市助が創立
した東京電気と久重の芝浦
製作所
は合併
し、1939(昭和14)年、東京芝浦電気(現在の東芝
)となった。
Q3 b 電動式エレベーター
1890(明治23)年、日本で最初の電動式エレベーターを浅草の凌雲閣
に設置
。凌雲閣は日本初の高層建築物
(12階建て・高さ52m)だった。他にも電灯用発電機を設計
したり、電気鉄道の会社をつくったり、日本初の取り組みをたくさんしている。東京~大阪間に高速電気鉄道を走らせる計画は実現
しなかったけど、東海道新幹線が開通(1964年)する50年以上も前だからすごい!
みんな、クイズはどうだったかな? 今回はこれにておしまい! さ~て、次回のゲストは? 天文学のレジェンドが登場!「太陽を止め、地球を動かした」男の偉大な功績をたどります。お楽しみに!
文
(イラスト/ほりみき)