体の中には、ふしぎがいっぱい! この連載では、自分の体の中のいろいろな部分をめぐる旅の案内をしていきます。人体の“地図”を手に、一つひとつの部分の役割を知っていけば、もっと自分の体、そしてまわりの人の体を大切にする気持ちがわいてくるでしょう。
今日のお話のテーマは「肩」です。
肩はなんのためにある?
あなたの「肩」は体のどこにありますか? さわってみましょう。
そう。左・右の首と腕の間にありますね。
では、肩は何のためにあるのでしょう。そうですね、首と胸(胴体)、そして腕と胴体をつなぐためにありますね。
あなたは腕を挙げたり、降ろしたり、前にしたり、後ろにしたり、まわしたりできます。このような腕の自由な動きができるのは、肩があるおかげです。それから肩は、あなたがいつも使うランドセル(ランリュック)やカバンのベルトをのせる場所でもあります。友達と肩を組むのも友情にあかし。肩があるって、すごく便利!
もし、肩がなかったら? あなたの腕は胴体にそのままくっつき、腕が今のように自由な動き方ができないし、ランドセルやカバンのベルトを肩にのせることもできない。これはとても不便で悲しいことです。
肩を動かすしくみ
このような肩の便利な運動ができるは、肩にある骨と筋肉があるおかげです。その骨とは、鎖骨と肩甲骨という骨。鎖骨は肩の前、肩甲骨は肩の後ろにあります。まずは自分の鎖骨と肩甲骨を触ってみましょう。肩甲骨は後ろにあるけど手が届くかな?
そして肩にある筋肉というのは、僧帽筋、大胸筋、三角筋という名前の筋肉です。僧帽筋は首と背中から肩にかけて、大胸筋は胸の前から肩にかけて、三角筋は肩の横にあります。この骨と筋肉が腕と胴体の間をつなぎ、そして骨と筋肉とが協力して自由な腕の動きができるのです。ボールを投げるといった複雑な動きができるのは、この肩のつくりのおかげです。
肩が凝るとは?
あなたのおうちの人は、よく「肩が凝った」っていいませんか? どうして肩って凝るのだろう。肩以外のところが凝ってもいいはずなのに、なぜ肩が凝るのか?
あなたは荷物をどうやって運びますか? そう。手で持ち上げて運ぶよね。手と胴体は腕をつうじてつながっている。すると、もし肩に力を入れずに荷物を持つとしたら、荷物側に胴体がひっぱられてしまう。これでは荷物を持ち上げたり運んだりできませんね。
そこで肩は、荷物を持っている腕を胴体側にしっかり引っぱって傾かないようにする。これができるのは、さっき挙げた肩にある骨や筋肉のはたらきによるものなのです。 ただし、筋肉の中でも僧帽筋は、首の後ろから腰、そして腕を結んでいるとても大きな筋肉なので、重い荷物の移動をずっと続けると、僧帽筋のとくに肩のあたりが疲れて硬くなってきます。これが「肩の凝り」です。
肩が凝ると、血流が悪くなったり、疲労物質がたまったり、筋肉が固くなってしまいます。だから、おうちの人が「肩が凝った」っていったら、できるだけ、もみもみもしくはトントンとたたいて、筋肉をほぐしてあげてね。
肩を強く引っぱると?
ここで1つ注意するべきことをいいます。肩って、とても丈夫につくられているのだけど、ときに外から強く引っぱる力がかかると腕と胴体をつなぐ骨が外れることがある。これを「脱臼」というのだけど、小さな子供やスポーツ選手がときどきなります。
そのときは、病院にいって整復という肩をはめてもらう治療を受けましょう。強く腕を引っ張ったり、腕を後ろに回す動きなどには注意してね。
「肩」がつく言葉
ではここで、「肩」がつく言葉をいくつか紹介しましょう。
①肩幅
肩幅は、左の肩の一番はしから右の肩の一番はしまでの長さのこと。よく、「肩幅が大きい」などと使われます。
②肩を組む
あなたは仲良しのお友だちとよく肩を組みますか? 肩を組むのは仲の良い証拠だね。
③肩透かし
肩透かしって、なんか面白い言葉だね。例えば、今度の月曜日は大嫌いな注射の日。もう何日も前から心配で心配でたまらない。そしていよいよ注射を受ける日。注射をいざ受けてみると、あれ? ぜんぜん痛くない。な~んだ、心配のし過ぎで実際にはたいしたことなかった。そういう場合、「肩透かし」っていいます。
④肩を並べる
身長が高い人と低い人がならんだとき、もちろん肩の高さは同じではない。そこで身長の低い人が頑張ってご飯を食べたり、牛乳を飲んだりしてどんどん身長が伸びて、やっと身長が高い人と同じ高さになった。これでようやく肩を並べることができる。このように、がんばって努力して、目標にしていた人と同じくらいのレベルになることを、「肩を並べる」っていいます。テストの点数などでも同じことがいえますね。
⑤肩身が狭い
これはとくに大人の人がよく使う言葉だね。何かよくないことをしてしまったとき、周りの人からはちょっと冷たい目で見られる、もしくは見られるのではないかと思ってしまう。そしてあなたは、しょんぼり、堂々と前を向いて歩けない、恥ずかしい、居場所がない、そういった気持ちのときに「肩身が狭い」って使います。
⑥肩の荷が下りる
この言葉は、重大な仕事や責任から解放されてホッとするという意味。つまり肩という場所は、その人が背負っている責任や役を支えるところ。それだけ肩は人の体の中でも大切な場所となりますね。頼れる人は何となく背中から見る肩の姿がたくましい気がします。
責任や仕事を背負うのは大変だけど、「神さまは乗り越えられる人にしか試練を与えない」という言葉があるように、背負うことであなたの能力をのばすチャンスであること。長い人生、たくさんの荷を背負って、広く、大きい心を養っていきたいものですね。 このように、「肩」が含まれる言葉ってたくさんあります。まだまだあるからまた出てきたら覚えていこうね。
まとめ
今日のお話をまとめると、肩は胴体と腕をつなげ、腕を前後・上下・左右に自由に動かすことができる。これは肩にある骨や筋肉のすぐれたつくりのおかげ。しかし、肩の筋肉は凝りやすい。
いかがでしたか? 「肩」はあなたの体の中の大切な場所だということがわかりましたか? 大切にしましょうね、あなたの肩。
文
(イラスト/齊藤恵)
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