《偉人
さん、いらっしゃ~い‼》へようこそ。毎回、すてきな偉人さんをゲストに楽しいトークをお届
けします。「すべての生き物は同じ祖先
から生まれ、枝分
かれした!」 進化のナゾを解
き明かした偉大な自然科学者
といえば、もうわかったかな? レディス&ジェントルマン、われらがダーウィン博士
をご紹介
しましょう!
チャールズ・ダーウィン博士、いらっしゃ~い‼
─ 子供のころ興味
があったものは?
趣味
はいろいろなもののコレクション。切手、石ころ、貝がら、鳥の卵
、昆虫
……何でも集めて観察
するのが好
きだった。学校の勉強はたいくつで、毎日ハンティングに魚つりざんまい。そしてケンブリッジ大学に通っていた22歳
のとき、船で未知
の世界を旅するチャンスが訪
れたのだよ。
─わかった! ビーグル号の大冒険ですね。
さよう。イギリス海軍
の帆船
ビーグル号で、いざ世界一周航海
へ! 1831年、われわれはイギリスを出発。南米
から南太平洋
の島々、ニュージーランド、オーストラリア、アフリカと回り、5年間さまざまな調査
を行った。そこでは見るものすべてが珍
しく、知らないことだらけ。私はおびただしい数の生き物や化石などを採集
しては、せっせと国へ送ったものだ。
─有名なガラパゴス諸島
って、どんなところなんですか?
おお、赤道上
にうかぶ熱
き溶岩
の島々
! 背
の高いサボテンに奇怪
なトカゲたち! 私はそこにすむ不思議
な生き物にすっかり魅了
された。そして夢中
で標本集
めをするうちに、ほとんどの生物が大陸
にいる種
とは似
ているようで少し違
いがあり、しかも島ごとに種が異
なることに気づいた。
─へえ~、それって不思議ですね。
帰国後 、集めた標本をくわしく調べて研究したすえ、ある考えにたどりついた。すなわち、種はたえず変化する。環境
にもっとも適応
したものが生き残
り、新しい種に進化していくのだと。たとえばキリンの祖先に、首の短いものと長いものがいたとしよう。やがて地表の草がなくなったとき、高い木の葉を食べられる首の長い種だけが生き残って、今のキリンになったわけだ。さらに、すべての生き物は共通
の祖先から枝分かれし、今も進化し続
けていると考えた。だが、私はこれらの考えを長いあいだ秘密
にしていたのだ……。
─ええっ、どうしてですか⁉
19世紀
のヨーロッパでは、聖書
にあるように、神様が地球上の生き物をつくったと信
じられていたからだよ。のちに発表した進化論
は世の中に大きな衝撃
を与
え、私は激
しく非難
された。「人間とサルが遠い親せきだとは、けしからん!」というわけさ。だが、地球が宇宙
の中心ではないように、人間もまた生物の中心ではない。やはり偉大
な真実が認
められるまでの道のりは、決して平たんではないのだよ(苦笑
)。では諸君
、ごきげんよう。
─博士、どうもありがとうございました!
もっと知りたい! 偉人さんエピソードクイズ
最後は、もっと知りたい「偉人さんエピソードクイズ」のコーナー。何問正解できるかな? 挑戦
してみよう。
Q1
チャールズは最初
にエジンバラ大学、次
にケンブリッジ大学で学んだよ。最初の大学では何を勉強したのかな?
a 文学
b 法律
c 医学
Q2
ビーグル号で赤道を通過
するとき、船乗りたちがした“お祝
いの儀式
”はどれ?
a 海の水を頭からザブンとかけた
b マストのてっぺんからジャンプ!
c たいまつを持って甲板
で踊
った
Q3
ガラパゴスはスペイン語である動物のこと。島の名前の由来
になった動物とは?
a イグアナ
b ゾウガメ
c アホウドリ
クイズの答え合わせはこの下をチェック
↓↓↓↓↓↓↓↓
Q1 c 医学
ダーウィン家はリッチな中産階級
で、父ロバートの医業
を手伝うため医学部に入学。でもチャールズは手術
の血を見るのがこわくて逃
げ出してしまったんだ。そこで次は教会の牧師
になろうとケンブリッジ大学に入ったけど、とくに信仰心
が強かったわけじゃない。ホンネは「牧師なら博物学
の研究
をする時間がたっぷりありそう」だった。ちなみに大学の成績
は中の上。聖書
より昆虫採集に夢中だったそうだよ。
Q2 a 海の水を頭からザブンとかけた
ビーグル号の目的
は、世界地図をつくるために現地
で測量
をすることだった。チャールズは帰国後、5年間の博物調査
をもとに、地質学
や動物学の本を何冊
も書いたよ。だけど、航海の最初のうちはひどい船酔
いで、せまい船室
につるしたハンモックにぐったり。すぐにホームシックにかかっちゃったんだって!
Q3 b ゾウガメ
ガラパゴスは、エクアドルの本土から約
1000km西にある群島
。スペイン語で「カメ」をさす「ガラパゴ」が名前の由来だ。1835年、チャールズはここを訪れ、島の人から「ゾウガメの甲羅
の模様
は島ごとに違う」という話を聞いた。また、帰国後に13種類
のフィンチという小さな鳥の標本を調べ、島ごとにくちばしの形が違うことから進化のメカニズムを思いついたといわれる。南米大陸
から渡
った1つの種が、島の環境に適応して進化していったのではないかと考えたんだ。この「自然選択
」による進化論をとなえた『種の起源』は当時 、大ベストセラーになったんだよ。
みんな、クイズはどうだったかな? 今回はこれにておしまい! さ~て、来週のゲストは? ノーベル賞を2回受賞したあの方です。お楽しみに!
※本記事は、『子供の科学』2011年6月号掲載の記事を再編集したものです。
文
(イラスト/ほりみき)