イヌはなぜ飼い主の顔をなめたがる?-もっと知りたい!イヌネコのふしぎ

 イヌが飼い主の顔をしきりになめようとすることがあります。これは、イヌがオオカミだったころから受け継がれてきた行動だと考えられています。

 肉食動物のオオカミは狩りに出て、獲物を捕らえてエサにします。しかし、小さな子どもは狩りができないので、狩りからもどってきた親に食べ物をねだります。おなかをすかせた子どもが親の顔をさかんになめると、親は飲みこんでいた獲物をはき出して与えます。つまり、オオカミの子どもにとって親の顔をなめるのは、親に甘えて、食べ物をおねだりしようとする行動なのです。

 現在のイヌが飼い主の顔をなめようとするのは、オオカミと違って食べ物を求める行動ではなくなっていますが、甘えようとしているのは同じです。飼い主のきげんを取ろうとしているのかもしれません。

 子供の科学2021年10月号特集14ページのコラムでも紹介した感染症のことを考えると、激しくなめさせるのはあまりおすすめできませんが、イヌが飼い主をなめようとするのは親愛の情のあらわれです。軽く顔をなめさせたら、いっしょに遊んであげるといいでしょう。

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取材・文

斉藤勝司 著者の記事一覧

サイエンスライター。1968年、大阪府生まれ。東京水産大学(現東京海洋大学)卒業後、ライターとなり、最新の研究成果を取材し、科学雑誌を中心に記事を発表している。著書に『がん治療の正しい知識』、『寄生虫の奇妙な世界』、『イヌとネコの体の不思議』、『群れるいきもの』などがある。

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