電気を水の流れでイメージしてみよう
みなさん、ふだんから何気なく「電気」という言葉を使っていますが、電気とは一体ナニモノでしょうか? 電線や金属の中を通り、目に見えない電気とはそもそもドンナモノなのでしょうか? 電気が光ったり、運動、音など、いろいろな形に姿を変えられるのはナゼなのでしょうか?
たとえば、「ホースの中を流れる水」を電気にたとえて考えてみます。水道から流れてくる水(電気)はホース(電線)を通り、出口から出てきます。このとき、出口に水車を置いておけば水車が回り、さらに強く水を出せばもっと勢いよく水車を回すことができます。つまり、水の流れが水車の回転運動を起こしているわけです。ですから、ちょろちょろとした水の流れの場合と、勢いのある水の流れの場合とでは、勢いのある方が大きなエネルギーを持っており、大きな回転運動や音に変わったわけです。
電気はいろいろなものに変化する
電気は、水よりももっといろいろなものに変化させることができるので、その性質を活かして、生活のいろいろな場面で利用されています。家庭の中を見ても、照明で使われる光源として、料理や暖房などで利用される熱源として、洗濯機や掃除機などで使われる動力源として、そしてテレビやパソコンなどのデジタル機器の情報として、電気はさまざまに形を変え、活用されています。
では、水のホースと同じで、電気というモノが電線の中を勢いよく流れているのでしょうか? これには非常に小さい世界のことを考えてみなければいけません。目に見えないほどの非常に小さな世界です。
原子のしくみを見てみよう
物質はすべて原子というものでできています。原子が集まって物質になります。原子の中心には核
があり、核は陽子と中性子でできています。この核の周りを電子が回っています。
すべての原子はこの構成で成り立っていますが、原子の種類によってその陽子や電子の数が異なります。また、陽子はプラスの電気を持っており、電子はマイナスの電気を持っています。通常、陽子と電子の数は同じでプラスとマイナスが同じ数あるので、電気としては打ち消しあい、流れることはありません。
電気の正体は自由電子だった
しかし、金属の原子は他の原子とは少し性質が異なり、電子の一部が隣りの電子と行き来することができるのです。これを自由電子といいます。なにもなければ自由電子は金属の原子の中を勝手に動いているだけですが、他から新たに電子が入ってくると、自由電子は次々にこの影響で「同じ方向」に動き出します。これにより「電気の流れ」が生まれるのです。
電子が外から入ってきたときに自由電子が動く、つまり、電気の正体は「電子の動き」なのです。すると、マイナスの電気が動くわけですから、「電気はマイナスからプラスへ流れる」と考えられます。
たしかに、電子の流れはそのとおりですが、水が高いところから低いところへ流れるように、電気も高いところ(プラス)から低いところ(マイナス)へ流れると考えたほうがイメージしやすいでしょう。そこで現在では「電子はマイナスからプラスへ流れる」のに対して、「電気はプラスからマイナスへ流れる」という表現を使っています。
ちょっとややこしい話ですが、電子の流れ、電気の流れの区別を混同しないように注意しましょう。
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