2015年のノーベル物理学賞となった梶田隆章博士の発見「ニュートリノ振動」。ニュートリノの存在を提案した本人さえ、発見できるとは思っていなかった素粒子・ニュートリノって何なのか? 難しく語られがちな素粒子物理の世界を、人気の科学ライターがとことんわかりやすく紹介。
カミオカンデとスーパーカミオカンデの観測からわかったこと、なぜノーベル賞となったのか、ニュートリノ研究からわかる新しい宇宙像までを解説。さらに、2017年にノーベル物理学賞となった「重力波の直接観測」についても詳しく紹介しました。
重力波とは何か? 発見までの過程、梶田博士が主導する、日本の重力波観測施設KAGRAや研究の最前線を紹介。ニュートリノ研究の成果に、重力波の直接観測が加わり、「マルチメッセンジャー天文学」の幕が開けようとしています。
研究の最前線から、明らかにされつつある最新の宇宙像について、楽しみながら知ることができる本です。
(本書は2015年刊行の『ニュートリノってナンダ?』の改訂新版です)
- ページ数
- 136ページ
- 価格
- 1,320円(税込)
- ISBN
- 978-4-416-71751-6
目次
プロローグ―梶田博士、ノーベル物理学賞受賞
第1章 ニュートリノってなに?
古代ギリシャから考えられていた原子
ブラウン運動の謎
原子の存在を証明したペランの実験
明らかになった原子の姿
実はスカスカだった原子の内部
いくつもあった素粒子
宇宙で作用する4つの力
物理学がつくりあげた標準模型という理論
幽霊粒子、ニュートリノ
苦し紛れだった? ニュートリノ仮説
ニュートリノを捕まえる―賭けたシャンパンの顛末
第2章 ニュートリノ振動の発見
日本のニュートリノ観測
カミオカンデの建設
陽子崩壊の観測
カミオカンデの大方向転換
奇跡的なタイミングで超新星爆発が起こる
ニュートリノでおかしな現象が見つかる
スーパーカミオカンデでニュートリノ振動が見つかる
第3章 まだまだ謎の多いニュートリノ
スーパーカミオカンデの観測を検証する
太陽ニュートリノ問題に取り組む
カムランドでの電子ニュートリノ観測
反電子ニュートリノで地球内部を探る
まだ残るニュートリノの謎
ニュートリノと反ニュートリノは同じもの?
宇宙にはなぜ物質があるか解明できる?
第4世代目のニュートリノ「ステライルニュートリノ」
第4章 ニュートリノで解き明かす新しい宇宙
ハイパーカミオカンデの建設計画
CP対称性の破れの発見
ニュートリノから新たにわかること
第5章 重力波観測で明らかになる宇宙
梶田博士の新しいプロジェクト
重力波観測への挑戦
重力波初観測までの道のり
連星ブラックホールの重力波を観測
重力波観測によって開かれた扉