動物編 アジアゾウを観察しよう

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陸上最大のほ乳類

 巨大な体に長い鼻を持つ不思議な動物のゾウ。世界にアフリカゾウ、マルミミゾウ、アジアゾウの3種が生息している。なかでもアフリカゾウは、体重が6トンにもなる陸上最大のほ乳類だ。
 また、ゾウがチャンピオンなのは、体重だけではない。尾の長さや耳の大きさもほ乳類で一番。また、最大の特徴である鼻の長さは2.5mにもなり、こんなに長い鼻を持つ動物はゾウ以外にいないのだ。

 では、ゾウは鼻をどんなふうに使っているのだろう。そのヒミツを解き明かすのに、お勧めなのが動物園だ。動物園は、間近で生きものが見られるので、体のつくりや使い方を観察するのに最適な場所なんだ。今回は、3種のゾウのうち、いちばん多く動物園で飼育されているアジアゾウについて詳しく観察し、鼻のヒミツを探ってみよう!

アジアゾウってどんな動物?

アジアゾウのメス
©柴田佳秀

アジアゾウ 学名 Elephas maximus

 体長5.5~6.4m、尾長1.2~1.5m。オスの体高は平均2.7m、メスは平均2.4m。体重はオス平均3.6トン(最大6トン)、メス平均2.7トン。かつてはインドゾウと呼ばれたが、インドやスリランカ、タイやマレーシア、インドネシアなどの東南アジア、中国南部などのアジアの広い範囲に分布するため、現在はアジアゾウと呼ばれる事が多い。

 おもに森林に生息するが、木がまばらに生えた草原的な環境に棲むものもいて、地域によって変化がある。メスと子どもは10~40頭ほどの群れで暮らし、オスは単独で生活している。草食性で草がメインメニューだが、木の枝や樹皮、葉や根なども食べる。

長い鼻のヒミツを解き明かせ

 今回お話を聞いた本郷峻先生(京都大学)による、アジアゾウの観察をするときにお勧めのテーマを紹介しよう。自由研究にまとめるときのポイントも教えてもらったので、参考にしてほしい。

研究テーマ① 鼻の形をよく見よう

©柴田佳秀

 ゾウの鼻は、鼻と上くちびるがいっしょに伸びた器官。骨はなく、たくさんの筋肉でできており、自由に動かすことができるんだ。そんなゾウの鼻のヒミツを解き明かすために、まずはどんな形をしているのか、以下の4つに注目して観察し、絵や文章にしてまとめてみよう。また、肉眼だと細かい部分が見えないので、双眼鏡やカメラを使うといいよ。

①鼻の穴はいくつあって、先はどんな形をしているか?
②毛はどこに生えているか?
③鼻の表側と裏側には違いがあるか?
④伸び縮みはするのか?

研究テーマ② 鼻の使い方を観察しよう

©柴田佳秀

 ゾウにとって、鼻は手のようなもの。どんなときにどんなふうに鼻を使っているか、具体的に観察してみよう。エサの種類によって使い方が違うのか、水を飲むときはどうするのなどに注目するといい。また、鼻は臭いをかぐ重要な働きがある。仲間同士が出会ったときに、鼻を使って臭いをかぎ合うなどの行動が見られるから、もし、複数個体が飼育されていたら、どのゾウとどのゾウが鼻で臭いをかぎ合ったとか、細かく観察してノートに記録してみよう。

 ゾウの行動を観察するには、開園してすぐの時間がお勧めだ。寝室から出てきたばかりは、エサを食べたり、なかまとコミュニケーションをとったりするので、鼻の使い方がいろいろ観察できるはずだ。また、動物園によっては、餌やりタイムが公表されているので、事前に調べておくのもいいだろう。

お互いに鼻で臭いをかぎ、コミュニケーションをとる
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暑い日は水浴びが見られるかも。鼻の使い方を順番に絵に描いたり、写真でまとめてもいいだろう。
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本郷先生からのアドバイス 飼育員さんとの関係に注目しよう

 本郷先生からは、「アジアゾウは、昔から人と一緒に暮らしてきた動物だから、飼育員さんとの関係を見てみるのもおもしろいと思う」とアドバイスをいただいた。飼育員さんが世話しに出てきたときや近くを通ったときに、ゾウがどんな反応をするのか注目してみるとおもしろいだろう。また、他の飼育員さんだと行動に違いがあるか観察し、気づいたことをノートに記録してみると何か発見があるかもしれないよ。

これは、飼育員さんに尾をブラッシングしてもらっているところ。足のの裏も見せているのは、異常がないかチェックしてもらうため。ゾウは健康チェックのために、飼育員さんの言うことを聞くように調教されている。
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取材協力/本郷峻(総合地球環境学研究所/京都大学白眉センター)
取材・文/柴田佳秀

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