【2月のミッション】先生の解説&みんなの投稿を発表!《科学ミッションカレンダー2023》

 子供の科学2023年1月号別冊付録「科学ミッションカレンダー」2月のミッションは、「金星と木星の動きを観察しよう」。およそ1か月かけて、日の入り後の西の空に見える2つの明るい惑星の動きを観察してもらいました。どんな発見や驚きがあったかな? ここでは、小野先生による解説と、編集部に寄せられた報告をいくつか紹介します。

※掲載の学年は応募時のものです。

●空での惑星の動き

 星座をつくる星(恒星)は、空での居場所を変えることなく、時間とともに東から西へと動いていきます。毎日およそ1分ずつ沈む時刻が早くなりますが(星の年周運動)、星座の星のならびが変わることはありません(注)。

 太陽の周りをまわっている惑星は、空での居場所を少しずつ変えていきます。空には「黄道(こうどう)」と呼ばれる太陽の通り道があり、惑星もこの黄道に沿って動いていきます。地球よりも太陽から遠い場所をめぐる惑星(火星、木星、土星など)は、黄道を東向きに少しずつ動き(順行と呼びます)、木星は12年かけて、土星は30年かけて空をひとめぐりします。ただし、地球にとても近い火星は、逆の向き、つまり西向きに動くこともあり(逆行と呼びます)、夜空をあっちへ行ったりこっちへ行ったり、さまようような複雑な動きをします。「惑星」とはそもそも「さまよう星」という意味なのです。

 地球よりも太陽に近い場所をめぐる惑星(金星、水星)もまた、黄道に沿いながらも、空をあっちへこっちへと行ったり来たりします。しかも太陽からあまり離れず、太陽の東側へ離れ、また太陽に近づき、今度は西側へと離れ、再び太陽に近づく…という動き方をします。とくに水星は太陽の近くにしか見られず、よい条件で観察できるチャンスがなかなかありません。

(注)ただし恒星も少しずつ動いているため(固有運動と呼びます)、何百万年、何千万年と時間がたつと、星座をつくる星のならびがわずかに変わります。

●金星と木星の大接近

 2月のミッションは、空での居場所が、1か月という短いあいだではほぼ変わらない木星と、太陽の東側へとどんどん離れて行く金星、という2つの惑星の観察でした。日の入り後の西の空を見て、互いにどんどん近づいていく金星と木星に驚いた人もいたのでは? この金星と木星の位置関係について、空での見え方と、太陽系の惑星の軌道と金星・木星の軌道上での位置の変化を比べながら考えてみましょう。

【図1】2023年2月6日の空での見え方と位置

地球から見ると、木星が見える向き(緑色の線)と金星が見える向き(オレンジ色の線)はだいぶ離れています。金星は太陽に近い側に見える(つまり、空低くに見える)ことがわかります。

【図2】2023年2月20日の空での見え方と位置

木星が見える向きと金星が見える向きが、2週間でだいぶ狭まりました。金星が太陽から離れてきている(つまり、空高く見える)ことがわかります。

【図3】2023年2月27日の空での見え方と位置

木星が見える向きと金星が見える向きが、ほぼ重なるようになってきました。金星もだいぶ太陽から離れた向きになりました。

【図4】2023年3月6日の空での見え方と位置

木星が見える向きと金星が見える向きが、入れ替わっていることがわかります。空で金星と木星が最も接近したのが3月2日。それ以降は、金星と木星が見える位置が入れ替わっています。金星はどんどん太陽から離れ、6月4日には太陽からもっとも離れて見える「東方最大離角」になります。それまでのあいだは太陽からさらに離れていきます。

●金星、木星に寄り添う月

 2月22日は金星のそばに、23日は木星のすぐ上に、細い月が近づいていたのを見つけてびっくりした人もいたようですね。

 月は空に突然現れたわけではありません。空には「白道(はくどう)」と呼ばれる月の通り道があり、月もまたこの白道に沿って東へと動いていきます。月は空を29.5日でひとめぐりしますから、木星に比べるとずいぶん動き方が速く、そのため翌日には見える場所がだいぶ変わってしまいます。毎日月を観察すると、その満ち欠けだけではなく、空での居場所がだいぶ変わることに驚くことでしょう。月は決して、突然空に現れたり姿を消したりするわけではないのです。ただし月は、太陽に近い方向にある新月の前後は、観察が難しいので注意しましょう。(文/小野智子)

●みんなの投稿を見てみよう!

★三ツ橋 巧眞さん(小4)

●先生への質問
・星座の星の名前や色を覚えようと思ってもなかなか覚えられません。何かコツはありますか?
●小野先生より
・星座や星の名前は難しく感じるかもしれませんね。私の場合は、空に輝く星を星座早見盤と照らし合わせて見ているうちに覚えました。明るい1等星を手がかりにしたり、形に特徴があるものから覚えていくといいですよ。


★大久保 光さん(小4)

●先生への質問
・25倍の望遠鏡でみたのですが、木星の近くに、白くて丸い物が見えました。木星の衛星が見れることはありますか?
●小野先生より
・木星の衛星は70個以上ありますが、そのうちガリレオ・ガリレイが発見した4個の「ガリレオ衛星」は、倍率が6倍くらいの小さな望遠鏡や双眼鏡でも見ることができます。ガリレオ・ガリレイが使った望遠鏡は口径が4cmで20倍、性能はいまの望遠鏡よりずいぶんよくなかったんです。

★内山 颯太さん(小2)

●先生への質問
・22日に月が突然金星の近くに出てきた。
・どうして金星と木星が近づいたのか動きがよくわかりません。
●小野先生より
・実は前日の21日も月は西の空に出ていました。でも、月がとても細く低い場所にあったので、気がつかなかったのではないかな? 月も毎日観察するとずいぶん動くことがわかると思います。
・星座をつくる星(恒星)は動かないのに、なかには動いたり停まったりする星(惑星)があります。その不思議な動きは何千年も前から人々を悩ませ、その動きを説明するために何世紀もの時間がかかりました。

★和田 泰直さん(小2)

和田泰直

●先生への質問
・宇宙にはどのくらい星があるのですか?
・星の表面温度はどのようにして決まるのですか?
●小野先生より
・実際に観測された一部の銀河の分布から考えた結果、宇宙全体では2兆個の銀河が存在することになるそうです。私たちが住む天の川銀河には1000億から2000億個の星があると考えられていますから、宇宙に天の川銀河が2兆個あると仮定すると、星の数は…計算してみてくださいね。
・星の温度は、その星がどのくらいの燃料を持って、どのくらい一度にたくさんの燃料を燃やすかで決まります。たくさんの燃料を持っていて、それを一度にたくさん消費する重い星は、温度が高くなります。

★清水 桧菜乃さん(小5)

●先生への質問
・星が重なるのは、日食、月食以外には何がありますか?
●小野先生より
・月が惑星を隠す、月が星(恒星)を隠す、月が小惑星を隠す、といった現象があります。2023年3月24日には九州の一部や沖縄で、月が金星を隠す「金星食」が見られました。惑星も月も、空での通り道が近いため、ときどき月が惑星を隠す現象が見られますよ。

……いかがでしたか?
みなさん、たくさん報告してくれてありがとう!

ミッションカレンダーはまだまだ続きます!
途中からでも参加できるものなので、興味がわいた人はぜひ今月のミッションからトライして、編集部に報告してくださいね。

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