「ミーン、ミーン」「ジリジリジリ…」という声が聞こえたら、いよいよ夏が来た!と感じるよね♪ これを読んでからセミの声を聞いてみると、周りにいるセミの行動や種類までわかっちゃうゾ。
1 そもそもセミはなぜ鳴くの?
鳴いているのは、実はオスだけだ。鳴き声には、2つの目的があると考えられる。
1つは、仲間同士の交信。遠くまで響
く大きな声を出すことで「自分はここにいるゾ」とまわりの仲間にアピールしている。その声を聞きつけて、遠く離れた場所から仲間のセミが飛んできたり、別のオスが鳴き声を返したりするんだ。
もう1つ、オスが鳴く一番の目的は、メスを惹
きつけること。メスは力強く、よく通る鳴き声を好むらしく、オスの声も自然に力が入る。メスが引き寄せられて近くにとまると、オスは鳴き方を変えてメスに近づき、交尾
をせまるんだ。
すると、その様子を感じとったライバルのオスは、負けるものかと間に入ったり、鳴き声で邪魔
したりする。そうした鳴き声が、さらに遠くの仲間を集める…このようにして、夏の公園や街路樹
は、にぎやかなセミの大合唱になるのだ!
2 セミの発音のしくみ
セミの鳴き声は、お腹の中にある発音器
でつくられる。
オスの背中側には「背弁
」という固いフタがあり、その下に発音器が隠
されている。発音器には太い筋肉がつながっていて、筋肉が収縮
するたびに発音器の膜がパチッと音を立てる。このパチッという音が、1秒間になんと30回以上細かく繰り返されて、「ジー」というセミの声に特有の音がつくられるんだ。
さらに、こうしてつくられた音は空っぽのお腹の中で共鳴
して、遠くまで響
く大きな音になるぞ。
3 セミの観察ポイント
3-1 セミたちのいろいろな行動を見てみよう
大合唱が聞こえたら、木にはたくさんのセミが集まっている。群れのいる木を見つけたら、セミたちの行動を観察しよう。
3-2 セミの体を観察してみよう
セミを捕
まえることができたら、まずは発音器の有無
をチェック! オスとメスの違いや発音器のつくりを観察してみよう。
3-3 鳴き声を聞いてみよう
発音器や腹弁の形は種類によって違うから、出す音も変わってくるんだ。ここでは身近にいるセミたちの姿と鳴き声を紹介するよ。聞き分けられるようになったら、立派なセミ博士だ!
アブラゼミ
全長約60mm 北海道〜九州に棲息。「ジリジリ…」と油で揚
げるような音で鳴くことから、こう名付けられたようだ。午後から夕方にかけてよく鳴く。
ミンミンゼミ
全長約60mm 北海道〜九州に棲息。主に午前中に「ミーン、ミンミン…」と鳴く。東日本では平地にも多いが、西日本では山地のセミ。
クマゼミ
全長約65mm 本州西部〜南西諸島に棲息。西日本の平地で最も多いセミ。主に午前中、「シャンシャン…」と鳴く。街路樹に群れることもめずらしくない。
ニイニイゼミ
全長約35mm 日本全国に棲息。果樹園
に多いセミ。「チー…」と高く大きな音で1日中鳴いているが、特に早朝や夕方に活発。
エゾゼミ
全長約65mm 北海道〜九州に棲息。山地に見られる。木の高いところを好み、「ジーン」と長く連続したとても大きな音で鳴く。
エゾハルゼミ
全長約45mm 北海道〜九州に棲息。5月から鳴き始め、7月まで活動。標高の高い山に多い。「ミョーキン、ミョーキン、ケケケ…」と鳴く。
ヒグラシ
全長約45mm 日本全国に棲息。早朝と夕方、そして雨雲が広がったときなど、周囲の明るさが急に変化するときに「カナカナ…」と鳴く。
ツクツクボウシ
全長約45mm 北海道〜九州に棲息。夏から秋によく見られる、街中にも多いセミ。「ツクツクオーシ」と連続して鳴いた後、「ジー」と鳴いて終わる。
チッチゼミ
全長約30 mm 北海道〜九州に棲息。本州で見られる最小のセミ。8〜10月に見られる。「チッチッチ…」と単調な連続した音で鳴く。
【観察ポイント】
● 時期や天気によって鳴き声は変わる?
● 時間帯によって鳴き声は変わる?
● オスを呼ぶときとメスに近づくときでどう変わる?
● 捕まえられたときには鳴き方は変わる?
など、いろいろな視点で鳴き方の違いを観察しよう。
3-4 さらに!他の虫の鳴き声も聞いてみよう
キリギリス
スズムシ
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なぜ鳴くのか、どこから音を出すのか、そのメカニズムを探る
セミの鳴き声について紹介してくださった高嶋清明先生の本があるよ。セミはも ちろん、その他の鳴く虫の音の不思議や観察の方法がいっぱい載っているゾ。自由研究をしたい人はぜひ参考にしよう。
文・写真・音声