『子供の科学』2024年9月号の「教えてセンパイ!」で取材したのは、東京都立日比谷高等学校の雑草研究部。“ザッケン”と親しまれる日比谷高校の名物部活で、校内に生える雑草を調べたり、採取した雑草を調理して実際に食べてみたりといった活動をしています。本誌の連載では、ザッケンの部員の皆さんが雑草を使ってパスタをつくって食べるところをお伝えしましたが、こちらでは取材中に皆さんから教えてもらった「へぇ〜!」な雑草の豆知識を紹介します!
クローバーだと思っていたのは実は別の植物だった
クローバーといえば、「四つ葉のクローバー」に代表されるように、多くの日本人にとって幸せのシンボル。小さいころ、公園で探した読者の方も多いのではありませんか? さて、そのクローバーの絵を描く場合、どんなふうに描くでしょう? 実際に紙とペンを用意して描いてみてください。描いた上で次のところを読んでみてくださいね。
あなたの描いたクローバーの葉っぱ、ハート型の形をしていませんか? そうなんです。多くの日本人にはクローバーの葉っぱ=ハート型のイメージが強いんです。だってハート型が集まっているところがいかにも幸せの象徴じゃないですか。実際、「クローバー イラスト」でGoogleの画像検索をしてみると、上位に出てくるすべてのイラストがハート型をしていました。
だけど、ザッケンの副部長さんが、雑草を求め日比谷高校の校内を散策している最中にこう教えてくれたんです。「みんながクローバーだと思っているそのハート型の葉っぱはクローバーじゃありません。カタバミという別の植物です!」。えーーー! ほんと??
その場で副部長さんがさっとクローバーとカタバミを並べて(下記写真参照)、左がクローバーであることを教えてくれました。右はカタバミです。え、右がクローバーだと思っていたよ!
カタバミの葉はハート型♡
ここでちょっと詳しく! クローバーはもともとマメ科シャクジソウ属の総称ですが、日本でクローバーというとほとんどはシロツメグサのことを指します。葉っぱの形は楕円に近い形で、どの葉っぱにも白い筋模様が入っているのが特徴です。それに対してカタバミはカタバミ科カタバミ属。黄色い花をつけ、葉っぱの形は皆さんがクローバーと聞いてイメージするような、かわいいハート型になります。
自分が幼少のころにクローバーだと思って摘んでいたのは、もしかしてカタバミ? クローバーとカタバミに罪はないものの、なんだか騙されていた気分だよ…そんなセンチメンタルな感傷に浸っていたとき、今度は「このカタバミの葉を使って、おもしろい実験ができますよ!」とまたまたザッケンの皆さんが教えてくれたのです。
カタバミの葉で古い10円玉をこすってみよう!
実験で用意するのは、10円玉とカタバミの葉。10円玉はくすんだ古い10円玉を準備しましょう。この10円玉の表面をカタバミの葉でこすって磨いていきます。行う作業はこれだけ。するとなんということでしょう! 黒っぽかった10円玉が、発行したての硬貨のようにピカピカに生まれ変わったのです!
聞けば、シュウ酸(アクの成分で尿路結石の原料となるとよく言われている。ホウレンソウなどにも多く含まれる)という酸の一種がカタバミの葉っぱに含まれていて、それが酸化した銅を溶かすのだとか。やるな、カタバミ…! これ、クローバー(シロツメグサ)で磨いても同じようにはできないんです。クローバーとカタバミって似ている葉っぱだけど、やっぱり違うんですね!
この実験、簡単にできて楽しいですし、意外ときれいになるのがうれしくてハマりますよ。カタバミはクローバーに間違えられるくらい、そこここに広がって生えている雑草なので、涼しい日に公園にでも行って、探してみてください。
以上ザッケンの部員たちに教えてもらった、クローバーとカタバミの違いとカタバミの実験についてのリポートでした! 本誌のほうではこのカタバミとクローバーを部員の皆さんがつくる雑草パスタの具のひとつとして使っているので、そちらも見てみてくださいね。
さて、日比谷高校雑草研究部を紹介しましたが、本誌連載(最新の「教えてセンパイ!」は、2024年9月号に掲載。奇数月に掲載しています)では、科学に深い関わりのある学校を今後も紹介していきます。これからもぜひ、チェックしてくださいね!
撮影/川上秋レミイ
取材・文
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