「教えてセンパイ!」は、科学への飽くなき興味を深められる高校や高専の授業・部活動を隔月で紹介している連載。「子供の科学」2024年3月号で訪れたのは、東京都立国分寺高等学校レゴ部(以下、国分寺高校レゴ部)。都立では唯一のレゴを専門とした部活です。今回はレゴ部のみなさんに複数人で行うレゴのおもしろい取り組み方を教えてもらいました。
テーマを設定し、テーマに沿った作品づくりを楽しむ
まずは1つ目のおもしろい取り組みは、1つのテーマを決め、それに沿った作品づくりをすることです。テーマは車、ビル、ロケットなど、なんでも構いません。取り組みに参加する人で話し合い、好きなテーマを設定します。
国分寺高校のレゴ部のみなさんは、昨夏「エレベーター」を共通テーマに個々の作品づくりを進めたとのこと。エレベーターづくりのポイントは、なんといっても箱を昇降させるシステムづくり!
例えば、ある部員のエレベーターは、巻き上げ式の滑車部品を使用。ロープの先をエレベーターの箱の一部に取り付け、持ち上げることに成功しました。また、他の部員の作品では、たくさん穴のあいた特殊なブロックを昇降レールに採用。手動レバーで上下スライドできるようにつくられています。
どちらの作品も持ち上げた後はそのまま落下しないよう、箱を引っ掛ける部分が設けられていますが、前者は代表的な長方形のレゴブロックを使い、後者は昇降レールと互換性のある特殊なブロックを使用。もちろん、この引っ掛け部分は箱が上昇・下降する際には動きの邪魔にならないよう、どちらも可動するしくみです。この可動のために使ったブロックも両者の作品で異なるのです。
こんなふうに同じ「レゴ」でつくった「エレベーター」でも、人によって選ぶ部品が異なり、出来上がりも全然違う。だけど、それぞれがとてもユニーク。ほら、これを読んでいるみなさんもレゴでエレベーター、つくりたくなってきませんか?
5分間で自由に発想し、完成までこぎつける!
さて、2つ目に紹介するのは、さらに簡単に取り組める“レゴ5分間チャレンジ”。5分という短い時間の即興で作品づくりをします。なーんだ、そんなことか…と思いましたか? これ、友人やきょうだいと一緒にすると、とても盛り上がりますよ!
今回は、国分寺高校の部員のみなさんが5分間チャレンジで実際につくった作品を紹介しましょう。
まずは部長の須田さん(高2)から。彼が完成させたのは、マイクです。聞けば、彼は高校の放送委員も務めているそう。短い制限時間の間に自己紹介も兼ねるアイテムを思いつき、実際につくり上げたのはさすがの一言です!
次に紹介するのは、牟田さん(高1)の作品。実はいちばん初めに作品を完成させたのが彼。下の写真、何だと思います? 「マッチ棒?」と聞くと「キャンプのときに食べる焼きマシュマロです!」との回答が。なんというオリジナリティ! マッチ棒と間違えて申し訳ない…。だけど、焼きマシュマロといわれると、もうそれにしか見えません。ちなみにそこからも怒涛のように手を進め、計3つの作品を完成させた彼。ポンポンとアイデアを生み出すクリエイティブな力が圧巻でした!
他にも副部長の菊池さん(高2)は顔文字、西田さん(高1)はカッコいい4WD車、吉川さんは帆の部分が動く船など、短時間でつくったとは思えないクオリティの作品が続きました。短い制限時間だったにも関わらず、どの作品にもそれぞれが好きなものや得意なものが透けて見えるのが、とても興味深い!
レゴの醍醐味といえば「好きなものがつくれること」と知っていたつもりですが、複数人で集まり、課題を設定するだけでまた違ったおもしろい遊びができる! そう教えてもらった今回の国分寺高校レゴ部の取材。実際に部員たちからも「部員といっしょにつくることで人に相談できるし、発想も広がる」という声が聞かれました。レゴは持っているけど最近は遊んでいない、そんなみなさん! ぜひ、クローゼットから出してきて、他の人も交えながら遊んでみてください!
さて、今回は国分寺高校レゴ部を紹介しましたが、本誌連載(最新の「教えてセンパイ!」は、2024年3月号掲載。奇数月に掲載しています)では、これからも科学に深い関わりのある学校を紹介していきます。ぜひ、チェックしてくださいね!
撮影/川上秋レミイ
取材・文
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