【Pick UP】マシンガンズ・西堀亮さんの発明が商品になった!【子供の科学9月号】

今回の調印式の主役の西堀さん。漫才のときの怒ってるポーズとともに。

 『子供の科学2023年9月号』のPickUPでは、発明芸人マシンガンズ・西堀亮さんの調印式を紹介したよ! 調印式とは、一般社団法人発明学会で会員のアイデアが商品化される際に行う公開契約調印式のこと。
 6月17日の調印式に契約者として登場したのは、お笑いコンビ・マシンガンズの西堀亮さん。マシンガンズはテレビやラジオを中心に活躍し、今年スタートした『THE SECOND~漫才トーナメント~』で準優勝に輝いたことで注目を集めたのも記憶に新しいね。今回は、本誌に載せきれなかった発明の経緯や漫才と発明の共通点を聞いてきたぞ。

取材・文/上垣内舜介 写真/名方裕哉

今回、西堀さんが発明したのは「静音 靴丸洗い洗濯ネット」。もともとは、靴を洗うブラシと乾かすハンガーを一体化させるアイデアでしたが、スマイルキッズ株式会社とのやりとりを重ね、洗濯ネットの形にたどり着きました。

発明を始めたきっかけは、コロナ期間中の”おうち時間”

「自分をそんなに追い詰めるタイプではないので、お酒を飲んでテレビを見ながらのんびりと発明してました。」と笑い交じりでお話してくれた西堀さん。

——「靴丸洗い洗濯ネット」の商品化が決定したということで、おめでとうございます。そもそも西堀さんはどうして発明をされるようになったのでしょう?

 数年前に、テレビ番組の撮影で発明学会を訪れたことがあったんです。コロナ期間で家にいることが増え、なんとなく掃除していたらそのときの資料が出てきて。時間もあることだし挑戦してみようと思ったことがきっかけですね。

——発明を始めてみて、周囲の方々の反応はいかがでしたか?

 やっぱり、発明して商品が出るって言うとみんな笑いますよね。爆笑問題さんとかサンドウィッチマンさんとか、「何やってるんだ!」って言いながらも笑ってくれて。こんなに喜んでくれるならやってみてよかったなと思っています。もちろん話題にもなりますし。

——商品化される「靴丸洗い洗濯ネット」は、上履きなどを洗濯機で洗うことのできる優れものです。上履きに着目されたのはどうしてですか?

 もともとは、靴を洗うためのブラシと乾かすためのハンガーを一体化したいというアイデアでした。ただ、スマイルキッズさんと話し合いを重ね、試行錯誤するうちに少しずつ形が変わっていきました。その中で、子供の上履きを洗うことが保護者にとってストレスになっているという話が出たんです。それで、そういう人の役に立つ商品を発明したいと。

「靴丸洗い洗濯ネット」のいいところは、子供でも簡単に上履きを洗えるところなんです。金曜日に持って帰ってきて、ネットに入れて洗濯機に放り込むだけ。それをルーティンにできれば面倒じゃないので、「自分でもやってみようかな」と思ってもらえるはずだと考えました。

——発明をしてみたいと考えている読者の子供たちにアドバイスはありますか?

「発明」と聞くと、すごく難しいものだと思ってしまいますよね。でも、僕はそうではなくて、子供たちは毎日のように何かを発明していると思っているんです。例えば、いつもと違う帰り道を通ってみるというのも発明です。「あそこの木にタッチしたらゴール」というような遊びのルールを決めるのも発明です。そういうのって、大人になるとどんどんできなくなるんですよ。なので、子供ならではの自由な発想を大切にして、新しいアイデアにつなげていってほしいと思います。

これから発明をしたいみんなへメッセージをお願いしたら「好きだったらやるでしょう(笑)」と一言! その通りだよね。「好きに勝る感情はないですよ~」 と穏やかに話してくれた。

漫才も発明も日々の不満から生まれる

——発想が大切というところで、漫才と発明には共通点があるんでしょうか?

発明学会のみなさんの前で、発明ヒストリーを紹介してもらっている西堀さん。

 僕たちマシンガンズの漫才は発明とよく似ているんですよ。どちらも、日々の不満がアイデアにつながっているんです。ただ、発明は不満を解決してくれるんですけど、漫才は発散するだけで何も解決してくれません(笑)。だから、僕としては発明のほうがすごいと思っているんです。嫌なことをプラスに変えて、商品化すれば多くの人の役に立つことができる。とにかく前向きなところが発明の魅力ですね。

——では反対に、お笑いと発明で違うところはどこでしょう?

 スタートは似ているんですが、つくり方や考え方は全然違いますね。というのも、お笑いは大事な場面で失敗してもそれがおもしろかったりするんですよ。漫才のネタを忘れたり、セリフを噛んでしまったり(笑)。ただ発明の場合、買った商品にうっかりミスがあったら嫌じゃないですか。自分のことで失敗するのはいいんですけど、人に使ってもらうものでは絶対にミスしたくないっていうことはずっと考えていました。

 もちろん、試作の段階ではどれだけ失敗しても大丈夫なんです。その失敗が必ず次の糧になるので。発明はスポーツや勉強と違って、成長の過程が見えづらいんですよね。だから、途中でやめてしまう人も多い。でも苦労した分、完成したときの達成感は大きいので、諦めずに続けてほしいということは伝えたいです。

——西堀さんがこれからつくってみたいものはありますか?

スマイルキッズの専務取締役の原さんともがっつり握手!

 アイデアだけは頭の中にいっぱいあるんです。例えば、僕はピザをよくテイクアウトするんですけど、普通のエコバックだと平らに入れられないんですよね。なので、入れる商品にフィットして形が変わるエコバックをつくってみたいと思っているんです。具体的にどうすればいいのかはまだわからないんですが(笑)。でも結局、自分がほしいものをつくることが大事なんです。「靴丸洗い洗濯ネット」も、自分がスニーカーを集めているからほしいと思ったものなので。まだ世の中にないけれど、あったらうれしいものをつくるのが“発明”です。だからこそ、こんなに熱中できるんだと思います。

——最後に、『子供の科学』の読者の子供たちに向けてメッセージをお願いします。

 発明をする上で大切なのは、失敗を恐れないことです。僕もたくさん失敗して、ようやく商品を完成させることができました。発明は、失敗したとしても誰にも迷惑をかけません。なぜなら、失敗作は誰にも見られることがないからです(笑)。1回の失敗で諦めることなく、どんどん挑戦してもらえるとうれしいです。

無事に調印式を終えてにっこり。みんなも発明をがんばってみよう!

みんなの発明の応募を待ってるよ!

応募要項や投稿フォームは、上のバナーをクリックしてチェック! ハガキで投稿する場合も必ずお読みください。

子供の科学2023年9月号

『子供の科学』9月号は、耳がぐ~んと伸びたり、自分の指なのに変な生き物みたいな感覚になる「からだの錯覚」を大特集! 友だちや家族とすぐにチャレンジできる錯覚体験をたくさん紹介しています。さらに今月は新連載が2本! 1つは動物園の動物について、かわいいイラストとともにくわしく知ることができるもの。もう1つは、ヘルドクターくられ先生によるあやしい科学に切り込む連載です。型紙から繊細な風車をつくり上げるペーパークラフト付き!

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