今年から小学校で「プログラミング教育」が必修化
されるって知ってるかな? これまでも一部の小学校では行われていたんだけど、今年からはすべての小学校で行われることになったんだ。そこで今回は、連載「はじめようジブン専用パソコン」でおなじみの阿部和広
先生に、みんなが知りたい「プログラミング教育」の疑問を聞いたよ!
プログラミング教育の目的は?
小学校でプログラミング教育が始まるって聞いたけど、本当ですか?
はい、本当です。2020年度から新しい学習指導要領
(※1)が始まり、すべての小学校でプログラミング教育が行われることになりました。一部の小学校ではすでに行われているので、知っている人もいるかもしれませんね。
将来、プログラマーになるための勉強をするの?
音楽や体育の授業があるからといって、みんながミュージシャンやアスリートになるわけではありませんよね。これと同じように、プログラミング教育といっても、プログラマーになるための勉強をするわけではありません。プログラミング教育の目的(※2)の1つは「プログラミング的思考」(※3)を身につけること。これは、将来どんな職業に就
くとしても必要になる、これからの社会で重要な力といわれています。
※1 学習指導要領
小学校や中学校などで学習する内容が定められたもの。小学校では2020年度、中学校では2021年度から新しい学習指導要領がスタートする。
※2 プログラミング教育の目的
①プログラミング的思考を育むこと、②身の回りにあるたくさんのコンピューターによって、社会が支えられていることに気づくとともに、コンピューターを使うだけでなく、自分たちがつくり手になり、将来のよりよい社会につながることがわかること、③教科などで学ぶ知識および技能などをより確実に身につけさせること、この3つがプログラミング教育の目的だ。①のプログラミング的思考が注目されがちだけど、阿部先生は特に②が大事だと思っているそうだ。
※3 プログラミング的思考
かんたんにいうと「自分がやりたいことを実現するために、何をどんな順番で行えばいいかといったことを、論理的
に考える力」のこと。実はコレ、みんなも日常的にやっているはずなんだ。たとえばカレーライスをつくるとき、どんな材料や道具を用意して、どんな順番で調理すれば手際
よくつくれるか、そして、おいしいカレーにするためにはどこを直せばいいかを考えるよね。このように、行き当たりばったりではなく筋道
を立てて考える力が、プログラミング的思考。これは料理だけじゃなくて、さまざまなことに当てはまる。ぜひ身につけて、生活の中で生かしていこう!
どんなことをするの?
時間割りを見ても、「プログラミング」の時間なんてないのですが?
プログラミング教育は、算数や理科など各教科の中で行われます。「プログラミング」という科目ができたわけではないのです。また、小学校6年間のうち、何年生のどの科目でやってもいいことになっています。だから、必修化されたといっても、6年生以外のみなさんが今年プログラミング教育を受けるかどうかはわかりません。
実際にはどんな授業をするの?
たとえば、算数ではプログラムを組んで正多角形を作図したり、理科では電気の性質をプログラミングを通して学んだりすることが考えられます。ただ、どんな授業をするかは学校が決めるので、学校によって全然違うかもしれないですね。
プログラミングってむずかしそうだからちょっと不安……。
全然不安に思うことはありませんよ! ひと足早くプログラミングをやってる子も、そうじゃない子も、小学校ではゼロからきちんと教えてくれます。それに、プログラミング教育は成績
がつかないんです。たとえば、プログラムを組んで正多角形を作図したとします。この場合、成績がつくのは正多角形の性質を理解したかどうかで、プログラミングの知識や技術は評価
されないことになっています。
今Scratch(スクラッチ)をやってるんだけど、授業でやるプログラミングっておもしろいのかなぁ……?
すでにプログラミングをやっている子にとっては、かんたんに思える内容もあるかもしれませんね。そんなときは、先生や友達を助ける立場になってほしいです。先生のかわりになるくらい、積極的
に発言しちゃいましょう。
ちょっと興味がわいてきたぞ。どんな授業になるのかドキドキね。
プログラミングっておもしろい!
コンピューターは、今の人類がはじめて手にした、画期的
な道具です。プログラムを変えれば楽器にもなるし、お絵描きもできるし、もちろんゲームもできる。そのすごい道具を自由に使いこなし、コンピューターと対話するための手段がプログラミングです。なにより、コンピューターでプログラミングをするって、すごく楽しいことですよ。ぜひプログラミングを身につけて、自分のやりたいことや達成したい目的のために、コンピューターを使えるようになってください。
※この記事は『子供の科学』2020年5月号の再録です。
(取材協力/阿部和広 取材・文/塩野祐樹 イラスト/宇江喜 桜)