夏になると気になるのが紫外線。紫外線は体に有害だとか、日焼けの原因として嫌われている。でも、実はいろいろ役立つ性質も持っているんだ。手軽な実験から、 紫外線について考えていこう。
紫外線って何だろう?
太陽や電灯から出ている光をプリズムなどで分けると、虹のようなさまざまな色が現れることは知っていると思います。この光の“色”の違いとは、光の“波長”の違いです。光は波の性質を持っていて、その山と山(または谷と谷)の間隔
を波長といいます。波長が長い光は赤く、短い光は青やすみれ色に見えます。
虹の赤や青の外側は暗く見え、何も光がないように感じられます。でも、実は見えないだけでさまざまな光があるのです。たとえば、赤い光のすぐ外側にある光が赤外線
で、さらにその外側(波長の長い側)には、通信などで使う電波があります。
逆に青い光のすぐ外側にある光が、紫外線
(UV:ウルトラバイオレットの略)です。これより波長が短い光には、X線やガンマ線があります。このように、紫外線は目には見えないけれども光の一種です。これら、見える光(可視光線と呼びます)や見えない光を含めて、電磁波
と呼びます。
紫外線の性質
電磁波は、その波長によってさまざまな異なる性質を持っています。目に見える可視光線以外では、赤外線はよく知られるように熱を伝えます。紫外線をはじめとした波長の短い光は、たいへん強いエネルギーを持っています。
このためにX線やガンマ線は物質を通り抜ける力が強く、また、物質の化学的なつながりを壊したりします。
紫外線はこれらほどではありませんが、可視光線に比べるとやはり強いエネルギーを持っているため、物質に当たって化学的な変化を起こす力があります。例えば生物の皮膚に当たると、その細胞を壊すこともあります。
私たちの皮膚はこのような紫外線の影響を避けるため、紫外線を受けると細胞の中でメラニンという黒い色素をつくります。日焼けをすると肌が黒っぽくなるのは、このためです。
強いエネルギーを利用して、紫外線は殺菌灯
などに利用されています。有害なバクテリアなどの細胞を壊して殺すのです。また、蛍光灯の中では紫外線が放出され(外にはわずかしか出てきません)、そのエネルギーを受けた蛍光物質
(紫外線のエネルギーを可視光線に変化させる物質)が光ることで、明かりとして利用しています。
紫外線をバナナで調べる!?
紫外線は目に見えないので、どれほど出ているかは見ただけではわかりません。そこで紫外線が生物の細胞に与える影響を観察することで、その量を調べる実験を試してみましょう。
バナナの皮は、紫外線をよく吸収することが知られています。また、傷むと色が茶色っぽく変化します。このため、紫外線が当たってバナナの皮の細胞が傷つくと、色が変わるといわれています。強い日差しを利用して、バナナの皮への紫外線の影響を調べます。また、紫外線を防ぐといわれる化粧品の効果も、あわせて調べることにします。
用意するもの
●バナナ
●アルミホイル
●セロハン
●トレー
●SPF50+のファンデーション
●SPF4の乳剤
※化粧品などでは紫外線をさえぎる働きの強さを、「SPF(紫外線防御指数)」という単位で示しているものがある。数字が大きいものほど、紫外線を防ぐ効果が高いとされている。今回はSPF4の乳剤と、最強とされるSPF50+のファンデーションで実験した。
実験の方法
実験の結果
今回はほぼ晴れの日差しを3時間ほど当てました。なお、アルミホイルの他に、紫外線防御効果が表示されている化粧品2種類を塗ったセロハンも巻きつけました。
日差しを当てた後、およそ半日ほど暗い場所に保存したところ、表面の色の変化がほんのり出てきました。さらに2日ほど保存しておくと、アルミホイルやセロハンを巻いたところに比べ、日差しが当たった部分がより黒っぽく変色したのがわかりました。なお、2種類の化粧品を巻いた部分はアルミホイルとそれほど大きな差がなく、かなり紫外線防御効果があるように見えます。
もっと強い光を当てて調べると、さらにはっきりした差が出るかもしれません。また、日によってどれぐらい違うか、日陰ではどうか…など、さまざまな応用実験ができると思います。みなさんも夏休みの自由研究で、ぜひ試してください。
写真・文
【応用編】ブラックライトで紫外線実験
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