工作をはじめる前に読もう「段ボール工作のコツ」-自由研究スペシャル

段ボールのひみつ

ひみつ①段ボールのパーツの名前

 段ボールの板を横から見たとき、波の形をした部分は「中芯」、それをはさむように貼られた紙は「ライナー」と呼ばれている。

 段ボール箱のコシを強めたいときは、「中芯」に使う紙の材質を強度のあるものにする。「ライナー」の紙は、リサイクルのために古紙を含むものが使われているが、強い段ボール箱にしたいときは、新しいパルプが多く含まれるものにしている。

ひみつ②いろいろな厚みがある

 段ボールには、いろいろな厚みのものがある。代表的なものは下の3種類。

 Aフルートは、みかん箱など、発送用段ボール箱に最もよく使われている厚みのもの。Bフルートは、軽い物を入れる箱用に使われている。この2つを重ね合わせたWフルートを使えば、かなり重い物を運べる丈夫な箱をつくることができる。

ひみつ③いろいろな形で活躍している

 段ボールは紙なので、加工しやすく、表面に印刷することもできる。軽くて丈夫、クッション性もあるので、商品用の棚、割れもの用の緩衝材、フォークリフト用のパレットなど、いろいろな場面で使われている。

ひみつ④はじまりは汗取り紙!?

 19世紀のイギリスで、シルクハットという帽子の汗取りとして、内側に貼られた波状の紙が、段ボールのはじまりといわれている。

 その後、波状の紙は、割れものなどを守る緩衝材として使われ、強度を持たせるために面に紙が貼られて、現在の形になった。

段ボール工作のコツ

 段ボールを使ったり、加工したりするときは、まず、段ボールの性質をつかむことが大切。段ボールをさわって実際に工作しながらその性質をつかもう。ここでは工作するときに使える便利な道具とともに、上手に作業するコツを紹介しよう。

切る

●カッターナイフ

 きれいに段ボールが切れるので便利。カッターナイフで切るときは下にカッターマットを敷こう。

●はさみ

 段ボールがかたくて切りにくいときは、はさみの奥の方を使って、少しずつ切ろう。刃先が小さく曲がったはさみを使うと、厚みのある段ボールも切りやすい。

●段ボールカッター

 ギザギザの刃がついていて、段ボールが切りやすくなっている。面に穴をあけるときにも便利。

穴をあける

●穴をあける道具

あけたい穴の大きさに合わせて道具を選ぼう。

●竹ひごで穴をあける道具をつくる

 竹ひごを通す穴は、通す竹ひごと同じ太さの竹ひごの先を、鉛筆けずりでけずると、穴をあけるちょうどよい道具になる。

曲げる

●曲げやすい方向と曲げにくい方向がある

 段ボールは内側に波状の紙(中芯)が入っているので、曲げやすい方向と曲げにくい方向がある。

曲げやすい方向
曲げにくい方向

●カッターで切れ目を入れる

 曲げにくい方向でも、カッターで表面の紙だけに切れ目を入れると曲げやすくなる。

色をつける

●絵の具に水を混ぜすぎない

 段ボールは紙なので、絵の具に水を混ぜすぎると、たわんだり、反ったりしてしまう。

下地剤を塗ってから

 アクリル絵の具の下地剤であるジェッソを塗ってから色を塗ると発色がよくなる。

左がそのまま色を塗ったとき。右がジェッソを塗ってから色を塗ったとき。
ジェッソ

●アルミ箔や色画用紙

 アルミ箔を両面テープやのりで貼ったり、色画用紙をのりで貼ったりすると表面の印象を変えられる。

左がアルミ箔、右が色画用紙を貼ったもの。

●きれいに塗る

 色を塗りたくないところにマスキングテープを貼ると、きれいに色を塗ることができる。

●耐水性を持たせる

 ニスを表面に塗ると、段ボールに耐水性を持たせることができる。完全に水につけても大丈夫なものをつくるのは難しいが、プランターや模型のボートなど、一部が水にふれる程度のものに使ってみよう。

ニス

つける

つける道具

つける面積、場所に合わせて選ぼう。

●切り込みでかませる

 2つの段ボールに切り込みを入れ、それをかませてつける。取り外しが可能。

●動くようにつける

 ボルトやナット、割りピンなどを使って段ボールの板同士をつけると、動かすことができる。

ボルトやナット
割ピン
回転の動き
 つけたものを回すように動かすことができる。
スライドの動き
 段ボールにあける穴を横長にすると、スライドするように動かすことができる。

(写真・イラスト/久保政喜 文/ことり社)

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