『子供の科学2023年8月号』では、宇宙生命体を特集したよ。「アストロバイオロジー」についてわくわくするお話をしてくれた研究者たちが考えた「宇宙生命体」はもうチェックしたかな? その個性あふれる姿に、一体どうしてこんな形が思いついたのだろう、どんな生態をしてるんだろう……、と興味津々な読者も多いはず! 本誌ではページ数の関係で載せきれなかった、詳しい「宇宙生命体」の7体の情報を一挙に紹介するぞ!
イラスト/NOY(@noy.z.cancelling) 写真/前田 立
※宇宙生命体たちは、本誌に登場した研究者たちの順番で並んでいるよ。
●田村元秀先生の宇宙生命体
【生息する惑星】赤色矮星周りの系外惑星
・太陽系の地球とは異なる赤色矮星のまわりの地球型惑星(赤い光が卓越する「地球」)に生息しています。
・人のように進化した生命はおり、かつ、鳥のように飛行能力もあります。地上・水上を問わず最適な環境に移動できるように進化しました。
・イラストは、親子の3体と生まれたばかりの赤ちゃんが飛んでいる様子です。
●日下部展彦先生の宇宙生命体
【生息する惑星】赤色矮星周りの系外惑星
・赤色矮星の周りのハビタブルゾーンで潮汐固定された惑星のちょうど昼と夜の境界の領域に住んでいる生き物です。
・境界の領域は昼と夜の温度差があり、かつ、常に風が強く吹いている可能性もあります。強風を避けるためと温度が比較的安定するため、主に土の中で生活しています。
・雑食ですが土を掘るための爪は鋭めで、なんでも食べられるように牙付きです。
・いつ出てきても夕方のような世界のため、いつ出てきても眠たげな表情をしています。
・常に夕方のような世界ですが、太陽が暗いので、夕焼けの上の方では常に星が見えています。
・赤色矮星周りなので、太陽光を効率的に浴びて体温を上げられるよう、体の色は黒っぽい色をしています。
●平野照幸先生の宇宙生命体
【生息する惑星】水惑星
・全球が水(海)で覆われた水惑星に棲む生物です。
・恒星からの光を求めて水中を動き回る動物(魚類)的な性質を持つ一方、体表面に”葉緑体”を持ち必要なエネルギー・栄養素は光合成によって取り出します。
・水中でも光を取り込むために、全体として平べったい形をしています。
●高橋葵先生の宇宙生命体
【生息する惑星】火星
・火星ローバーから着想を得た、外側を覆う皮膚がキャタピラのように動くことで、前後左右に進むことのできる生命体です。
・味覚以外の感覚は常に360度から感じられた方が効率的なため、全体を覆う皮膚にその役割があります。
●滝澤謙二先生の宇宙生命体
【生息する惑星】日陰面は氷、日射面は海の水惑星
・氷上では、固い殻の中で休眠しています(~0.1mm)。だんだん海水に浸っていくと、発芽して糸状に伸長し10cmほどになります。伸びた芽は氷の下に付着して、海藻のように生長していきます(1m程度)。
・海洋(冷たい)で流れ藻のように海面を漂います。水温が高く、光が強い場所に移動する間に10~100mまで成長します。
・海洋が熱くなると、生殖器(花)を水面に出し、胞子(種)が成熟します。そうすると、葉は脱落していきます。
・上昇気流が綿毛(胞子)を飛ばして、また氷上に降り注ぎ、同じようなサイクルを続けていきます。
・海流が植物を運び(冷たい→熱い)、気流が胞子を運ぶ(熱い→冷たい)のしくみです。
●関根康人先生の宇宙生命体
【生息する惑星】火星
・火星の泥火山と呼ばれる温泉のような場所に棲む微生物です。
・温泉のような場所でできる鉱物の表面に張り付きながら、鉱物と水の反応で生まれるガスを食べて生きています。
●木村駿太先生の宇宙生命体
【生息する惑星】火星
・火星の地下で眠っている微生物のような生命です。「眠っている」とは、動物の睡眠とは異なり、代謝などの生命活動をほぼ停止させている状態のことです。
※火星には昔、液体の水がたくさんあったと考えられています。そのころには生命が生まれていたかもしれません。微生物は眠っていたら増えないけれど、とても長い間生きることができるため、そういった生命が火星の地下にわずかに眠っている可能性が、ちょっとだけあるのではないかと考えました。また、火星の表面にいる微生物は、紫外線などの影響で死んでしまうため、地下にいる方が現実的です。ただし、火星で生命が生まれていたかは最大の問題のため、これはわかりません。
・たくさんあるゴロゴロは、火星のレゴリスをイメージしています。
以上で7体の紹介はおわり! どうだった? さらにわくわくしたよね。本誌では読者のみんなが考えてくれた宇宙生命体も登場していたよ!
みんなが書いてくれたイラストのテイストを残しつつ、『子供の科学』編集部メンバーのしんしんに描き起こしてもらったんだ。今回の特集を読んで、どんな惑星で、どんな環境で、どんな生命体なら生息していられるか、詳しい生態まで考えてみたら楽しいかも。ぜひその結果をKoKaひろばや読者アンケートで知らせてほしいな! 待ってるよ~。
文