■変形する4m級の搭乗操作型ロボット「アーカックス」
アニメやマンガにしか登場しない、「人が乗れる人型ロボット」がある世界を実現したいと考えているのがツバメインダストリの人たちだ。
開発した試作ロボットは「アーカックス」。大きさは約4m、重さは3.5t。上半身は見た目よりも軽量化されており、重心は常に下のほうにある。
下半身は4脚。その上に5本指のハンドと2本の腕を持つ上半身がある。4つの車輪で移動し、腕や腰が旋回する。動かせる関節の数は26軸。腕はもちろん、手指も動き、かっこいいポーズが取れる。重さ15kgまでのモノなら持つこともできる。
動力は電力。電気自動車用のバッテリーを使っており、電動モーターや電動シリンダーで駆動する。
大きな特徴は、全身の関節が操作できる「ロボットモード」と「ビークルモード」の二つのモードに変形すること。ロボットモードでは高さ4.5m、足を前に投げ出して姿勢を低くするビークルモードでは高さ3.9mになり、走行速度も時速10kmまで出せる。
頭部も変形し、ロボットモードではカメラガードのような外装が上に開き、モノアイ(一つ目)のようなデザインが現れる。
名前は、中生代ジュラ紀に生息していた原始的な鳥である「始祖鳥」の学名「アーケオプテリクス」から取った。
■コックピットのハッチは4枚の外装が連動
「アーカックス」は鉄あるいはアルミ製のフレームの上に、FRP(繊維強化プラスチック)の外装を貼り付けた構造となっている。頭部や手など一部外装には3Dプリンターが使われている。
アーカックスは外からの遠隔操作のほか、コックピットに乗り込んだ状態での搭乗操作が可能だ。コックピットは胴体部分にある。正面のハッチが上に上がることでコックピットに乗り込めるようになる。
コックピットハッチは軽量化のためアルミ製。一つだけではなく4つの外装が連動して動く仕組みだ。さらに、中の搭乗シートも一緒に連動して動くようになっている。
コックピットは完全に外装を閉めるデザインとなっている。つまり、閉めてしまうと肉眼で外の様子を直接見ることはできなくなる。中にはモニターが4枚つけられており、操作は本体9箇所につけられたカメラの画像を見ながら行う。実際の操作には2本のジョイスティックと2つのペダル、そしてタッチパネル操作で行う。
■販売価格は4億円!
開発したツバメインダストリは「アーカックス」を日本国内だけでなく、海外の超お金持ちにも売りたいと考えている。価格は4億円だ。本体の価格だけではなく、実際に乗って遊べる場所や環境も用意できないと楽しめないので、買える人はかなりのお金持ちに限られる。なおアーカックスは公道を走ることはできない。
ツバメインダストリCEOの吉田龍央氏は「我々はロマンを大事にしている。様々な産業も最初はロマンから始まった。搭乗型ロボットが日常化する社会もきっと来る」と語った。
「アーカックス」は東京ビッグサイトで開催予定の「ジャパンモビリティショー2023」(10月26日〜11月5日)に出展される。スペースの都合上、走行は見せられないが、上半身の動きや、変形デモは行う予定とのことだ。(取材・文・撮影/森山和道)
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