どんなシステムにも必ず不具合(バグ)があり、これを完全に無くすことは難しい。もし、最初から完全なものを作ろうとすると、膨大な時間と人とお金がかかってしまう。もしそうなら、多少の問題が残っていたとしても、まず世の中に出してしまって、問題が見つかった時点で直していった方が合理的だ。
世の中には、悪い人がいて、システムの弱点(セキュリティーホール)を攻撃して、情報を盗んだり、勝手に操作したりする。このような人のことをクラッカー(※)と呼ぶ。クラッカーに攻撃されないためにも、システムを常にアップデートしておくのはラズパイユーザーの義務だ。
(※) クラッカーとハッカーはよく間違われるけれど、ハッカーは、高い能力を持ったソフトウェア技術者のことで、すべてのハッカーが犯罪者というわけじゃない。正義のハッカー(ホワイトハッカー)もいるんだ。
今のところ、ラズビアンのアップデートはマウスと画像を使ったGUIではできない。その代わりに、キーボードと文字を使ったインターフェース、つまりCUIを使うんだ。テレビやマンガのハッカーみたいだね。
ラズビアンのシステムは、多くのパッケージからできている。パッケージというのは梱包や包装という意味だね。このパッケージを管理するのが、「apt-get」というコマンドだ。コマンドに続けてオプションを入力することで、いろいろなことができる。たとえば、パッケージの目録(インデックス)を最新にするには、「sudo apt-get update」と入力してEnterだ。先頭の「su」は管理者(super user)として実行(do)するという意味。なんだかかっこいいね。
早速やってみよう。インデックスはインターネットから取ってくるので、コマンドを入力する前に画面の右上のアンテナのマークを確認してね。この実行には数分かかることがあるよ。再びプロンプトが表示されたら終了だ。
続いて、パッケージを最新のものにアップグレードするために「sudo apt-get upgrade」と入力してEnterしよう。
途中で「続行しますか? [Y/n]」と聞かれるので、「y」をEnterして続けよう。もしかしたら、こんな画面が出ることがあるかもしれない。これは使用しているライブラリ(jbig2dec)のライセンスが変更されたことの確認画面だ。「q」を押せば続行できるよ。
更新が必要なパッケージの量や通信速度などによって、これには数分から数時間かかることもあるよ。再びプロンプトが表示されたら終了だ。
apt-getのオプションには、パッケージ構成まで変更する「dist-upgrade」もあるけど、システムが大きく変わってしまうこともあるので、今回は行わない。必要になったときに、また説明するよ。
以上でシステムのアップデートは終了。右上の「x」をクリックしてLXTerminalを閉じよう。次回再起動したとき、次のようなダイアログが開くことがある。これは、更新した結果、いくつかの設定が上書きされたという意味だ。自動的に以前の設定のバックアップも取られているけれど、ここまでやってきた設定には影響ないはずだ。
アップデートは、気がついたときにやるようにしよう。定期的に行ってもよいし、少なくとも1か月に1回はやることをおすすめするよ。